姓名判断の虎の舞は、五格剖象方を基本とし、姓名の根幹である「天・人・地」三才を重視する姓名判断サイトです。

文字の陰陽配置が運勢を左右するという嘘【姓名判断迷信シリーズ4】

このたび【姓名判断迷信シリーズ4】として取り上げるのは陰陽配置でございます。この陰陽問題も、非常に多くの方からご質問をいただくため、記事にして少し詳しく解説することに致しました。

この陰陽配置占いも、同数占いと同様、かなり古くからあるものでございます。今回は明治・大正頃の書籍も交えながら、この陰陽配置というものが全く理論的根拠がないことを解説したいと思います。

陰陽配置占いとはなにか?

まず、姓名判断における陰陽配置占いとはなにか?ということについて説明したいと思います。ところで『陰陽』とは、古代の中国で生まれた理論であり、天地自然一切のものは一切合切この陰陽によって成り立っているという思想です。

たとえば、天と地、裏と表、白と黒、プラスとマイナス、右と左、善と悪、剛と柔、男と女、光と影など、すべての事物は陰と陽から成り立っていると捉える思想で、これが後に生まれた五行思想と融合して陰陽五行哲学が生まれたわけです。そしてこの陰陽五行思想が、四柱推命や姓名判断の基礎を築く理論となりました。

それで日本の姓名判断のほうでは、まず文字(文字数)に陰陽を付しました。偶数は陰、奇数は陽となるのですが、それはなぜかというと物事は必ず陽から起こるという原理原則から、以下のように陰陽を付すことができるのです。

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9

ちなみに0は陰で、無を象徴するものです。無は有を生じるため0は最初に位置しますが、物事の起こりは陽(1)で示され、その後陰陽が順に繰り返し巡っていきます。ちなみにこれは陰陽理論を数字で表現したものであり、理のあることです。

そしてこれを姓名に適用し、私の姓名の文字数に陰陽を付すと、以下のようになります。

【青(8・陰) 山(3・陽)昂(8・陰)史(5・陽)】。このように表現すると分かりにくいので、陰を●(陰は陰を象徴するため黒)、陽を○(陽は光を象徴するため白としたのでしょう)で示したのが陰陽配置というものです。【青●山○昂●史○】とすると大変見やすくなりました。ちなみに私の姓名は陰陽が順に巡りますが、これは別に陰陽配置を気にしてのものではなく、単なる偶然です。

ここまでは良いのですが、問題はその次です。

姓名判断における陰陽配置は単に白と黒がうまく混ざり合っていると良いという単純な発想によって生まれたもの

陰陽配置については、非常にシンプルですので、誰でも文字に白黒を配する事ができます。そこからさあ占ってみようということになるのですが、実は陰陽配置占いというものには吉凶を定める基準がありません。

どういうことかと言うと、吉凶を決めるための理論的根拠が全くないため、昔からそれぞれの占い師が『こういう配置なら吉だろう、こういう配置なら凶だろう』といったものが現代まで恣意的に伝えられてきたのです。

このため、占い師の感覚の差によって吉凶が異なるところがこの占いの特徴となっているのです(色々な姓名判断サイトを見てみましょう。占い師によって陰陽配置の吉凶が多少異なるはずです)。

このことは、現在の書籍でも、明治時代の書籍でも同じであり、要は理論的根拠が『白黒のバランス』という極めて曖昧な概念に依存しているため、ハッキリしたことは誰も分からないのが現状なのです。次は、その理由を示すために実際の書籍を例に取ってみたいと思います。

それで基本的にはどういう配置なら吉なのか?凶なのか?というところを次から見ていきます。

陰陽配置占いにおける吉配置と凶配置の紹介

それでは陰陽配置の吉と凶について見ていきましょう。以下に三文字名と四文字名におけるすべての陰陽配置吉凶を示します。なお参考にするのは姓名判断が流行し始めた頃の古い書籍(【命名真理姓名判断】林充胤著:大正2年発行)と現代のわりと代表的な書籍(【姓名判断】文屋圭雲著:1995年発行)ですが、それぞれの書籍に記してある吉凶を示したいと思います。

ポイントは○と●の偏りで、主観的にどちらかに偏っていると判断された場合は凶となるようです。

三文字名における吉配置・凶配置

  1. ○○○(林:凶)(文屋:凶)
  2. ●●●(林:凶)(文屋:凶)
  3. ●○●(林:凶)(文屋:記載なし、おそらく吉)
  4. ○●○(林:凶)(文屋:吉)
  5. ○○●(林:吉)(文屋:吉)
  6. ●●○(林:吉)(文屋:吉)
  7. ●○○(林:吉)(文屋:吉)
  8. ○●●(林:吉)(文屋:記載なし、おそらく吉)

三文字名は奇数のため、最も判断が難しいのですが、林さんのほうは八つのうち四つ吉・四つ凶としており、しっかりと半分に分けた感じです。対して文屋さんのほうは明らかに偏っている『三文字すべてが陰陽どちらか』のみを凶としているため、林さんと相違が見られます。

文屋さんについては記載のない配置もありましたが、同配列のもの(白黒逆転の配置)を吉としているため、それらについては恐らく吉としています。

続いて四文字名を見てみましょう。

四文字名における吉配置・凶配置

  1. ○○○○(林:凶)(文屋:凶)
  2. ●●●●(林:凶)(文屋:凶)
  3. ○○○●(林:凶)(文屋:記載なし)
  4. ●●●○(林:凶)(文屋:記載なし)
  5. ○○●●(林:凶)(文屋:凶)
  6. ●●○○(林:凶)(文屋:記載なし)
  7. ●○○○(林:凶)(文屋:記載なし)
  8. ○●●●(林:凶)(文屋:記載なし)
  9. ●○○●(林:凶)(文屋:記載なし)
  10. ○●●○(林:凶)(文屋:吉)
  11. ●○●○(林:吉)(文屋:吉)
  12. ○●○●(林:吉)(文屋:吉)
  13. ○●○○(林:吉)(文屋:吉)
  14. ○○●○(林:吉)(文屋:吉)
  15. ●○●●(林:吉)(文屋:吉)
  16. ●●○●(林:吉)(文屋:吉)

このようになっており、林・文屋で概ね吉凶は一致するものの、『○●●○』のように吉凶が分かれるものもあります。林さんが『○●●○』を凶とする理由については、陰陽が二つずつと量的なバランスは良いものの、外側と内側に偏ってしまって見た目(配置)のバランスが悪いということでしょうか。対して文屋さんの場合は、おそらく白黒二つずつなので良しとしている印象です。

そして林さんのほうでは、三文字名の配置は吉凶半分ずつでしたが、四文字名のほうでは凶配置が多くなっています。これは、四文字名の場合は三文字名と比べて文字数が多くなり、当然陰陽のバラつきが大きくなるため、うまく混じり合っていないと判断したものを凶としたせいでしょう。

また重要なポイントは、いずれの書籍にも(他の書籍にも)、それがどうして吉でどうして凶になるのかという理論的な説明がなく、ただ吉凶別の陰陽配置として羅列してあるだけということです。これは以上の書籍だけでなく、私が見てきたすべての書籍やサイトで同じでした(当然、理論的な根拠がないため、説明したくてもできないのです)。

このことから、やはり陰陽配置というものは理論的な根拠は特になく、『白と黒がうまく混ざり合っていると良いという単純な発想によって生まれたもの』ということが言えるでしょう。これならどんな無知な占い師でも使えそうです(笑)

陰陽配置占いは、おそらく中庸の観点から、陰陽をバランスよく備えていることが吉、対して陰陽に偏りがある場合は凶という視点に依るのだと思いますが、それでは実際この配置だとこのような気質・運勢になるという実際的な説明がないことから、全く信じるに値しない占いだと私は考えています。

陰陽が順に巡るは凶?陰陽五行理論や易学には、陰陽が順に巡ると良いという理論はない

ちなみに易学や易占いを多少知っている方ならすぐに直観されたことと思いますが、実はそもそも陰陽が順に巡るとか、陰陽のバランスが良いことがすなわち吉であるというような理論や法則はありません。

もちろん易の八卦の吉凶の捉え方にも占い師それぞれの主観が入ることは当然ですが、易における代表的な吉卦・凶卦と呼ばれるものを知るだけでも、この陰陽配置がいかに主観的かつ恣意的なものかが理解できるはずです。

易占いにおける代表的な吉の卦

易占いにおいて代表的な吉卦と言えば、地天泰(ちてんたい)があります。この卦は【(上)●●●○○○(下)】というもので、天が下にあり地が上にあるという天地が逆の卦なのですが、天地が相交わろうとしており、今後の安定した運気を暗示していると言われる吉卦です。しかしこれは、おそらく先ほどの陰陽配置では偏りがあると見られ凶になるでしょう。

また易占いにおける凶卦については、代表的なものに【坎為水(かんいすい)】という水が重なった卦があります。これは【(上)●○●●○●(下)】と陰陽の配置とバランスは悪くないようですが、易では非常な困難を暗示する卦として知られております。

さらに、陰陽が順に並んだ火水未済(かすいびさい)【(上)●○●○●○(下)】[未済、亨。小狐汔済、濡其尾。无攸利。(Google翻訳:私たちは繁栄していません。 ちっちゃな狐汔済済済され尻。 利益はありません。)]という卦もありますが、特に吉とはみなさず、むしろ『未だ整わない』というその見た目とは全然異なった不穏な暗示を孕んだ卦として知られているのでありまして、これだけを見ても姓名判断における陰陽配置占いとの矛盾が露呈してしまいます。

このようなことから、単純に陰陽の配置を主観的に判断しただけの陰陽配置占いは、混乱を来す以上の何物でもなく全然見るべきものではないと私は考えております。もちろん四柱推命でも、陽ばかりの命式もありますが、それで凶と見なすことはないですし、それは姓名判断でも同様です。

ちなみに現代の姓名判断の始祖である熊﨑健旺氏の書籍には陰陽配置の項目はなく、本人はその正当性を完全に否定しています。

文字の陰陽配置ではなく、五格の陰陽を見ることが重要~陰陽のバランスは気質に影響する

そうであれば、姓名の陰陽強弱を知ることは全く無理なのかというとそうではなく、重要なのは五格の陰陽を導き出すことなのです。なぜなら、姓名判断の基本は五格であり、あくまでも五格の数および五行関係で占うため、陰陽も五格を基本に導き出すべきだからです。

すなわち、私の姓名を例に取れば、五格の陰陽は以下となります。

  • 天格・11・木・陽
  • 人格・11・木・陽
  • 地格・13・火・陽
  • 外格・13・火・陽
  • 総格・24・火・陰

とこのようになり、姓名における陰陽の強弱およびバランスが一目瞭然となるのです。そしてこの陰陽の配置とバランスについては、それ自体に吉凶があるわけではなく、主には気質の剛・柔の傾向として解釈します。

これは四柱推命でも同じであり、四柱がすべて陽となる人、また四柱がすべて陰となる人がいますが、陰陽に偏りがあるから凶とは見なしません(あるのかもしれませんが、そのような占法は未だかつて見たことがありません)。

つまり陰陽の強弱とバランスは、その人が陽的な気質であるか、陰的な気質であるのかを見極めるのに重要な指針となるのです。そこで私の場合は、姓名においては五格において陽数が多いため、陽的傾向大となるわけです。

ここでは陰陽別の気質については細かく述べませんが、概して陽が強い人は積極的・剛気・独断的となる傾向にあり、逆に陰が強い人は消極的・柔和・円満な傾向となります。姓名判断では、気質は文字そのものの数や陰陽ではなく、五格を元に判断をするため、陰陽も五格に則って判断をするのが理論的だと言えるでしょう。

ちなみにこの陰陽強弱も先天運とのバランスを考慮することが必要です。先天運と姓名をあわせて考慮し、命名においては陰陽の強弱を計る必要があるということです。